越石です。
遅ればせながら、超話題になった大人気SF小説「三体」を読了しました。
「三体」は中国の小説家「劉慈欣(リウ・ツーシン)」による本格ハードSFで、あのFacebookの創業者であるザッカーバーグや、オバマ元大統領も絶賛し、アジア圏の作品で初のヒューゴー賞を受賞するなど名実ともに、ものすっごいSF小説です。
実は1年ほど前に、ちょっと入院する必要があったので暇つぶし目的として購入していたのですが、入院中はけっきょく読まず、ずっと本棚に積んでありました。
しかし読み始めたらあっという間。2日で一気に読んでしまいました。読みやすい構成、気なる謎、そしてセンスオブワンダー。止まりません。
あと読んでいてジェイムズ・P・ホーガンの「星を継ぐもの」を思い出しました。そんな王道のSF小説です。
「三体」のざっくり【あらすじ】
題材を言ってしまうと若干のネタバレ感もあるのですが、SF王道の「ファーストコンタクト」ものになります。
舞台は中国の文化大革命から始まります。父を革命で斬殺され、人類に絶望した科学者である葉文潔(イエ・ウェンジエ)が、巨大なパラボラアンテナを備える軍事基地にスカウトされ、極秘プロジェクトに関わります。
そして現代、ナノテク素材の研究者である汪淼(ワン・ミャオ)は、謎の会議に招集され、世界の科学者が次々に自殺していることを知り、自身もその謎に深く関わっていきます。
すっごくざっくりですが、これ以上は(私の文章力では)ネタバレになるので、気になる方は…いや、ハードSF好きでしたら、ぜひ本書を手に取ることをおすすめします。冒頭の文化大革命のくだりこそSF感がなく若干アレなものの、ワンミャオが登場し、三つの太陽を持つ異星を舞台にした「三体」という謎のVRゲームが登場してからは怒涛の展開で本当に止まりません。どんどん引き込まれます。完全に虜になること間違いなしです。
ファーストコンタクトは大変(ちょっとネタバレ)
さて、ファーストコンタクトものに登場する異星人と言えば、神のように達観した高度な文明と、圧倒的な科学力で、星間移動なんかも軽々なんていうのが多いイメージがあるのですが、本書では異星人もファーストコンタクトは必死で非常に大変なんだというのが、大きなテーマの一つになっています。もちろん本書に登場する異星人も地球に比べて大きく進んだ科学力を持っているんですが、光年単位の星間移動となるとやっぱり大変だし、さらに地球を征服しようなんて思っても、移動にすっごく時間がかかるので(今回の小説の場合は地球に着くまでに約400年かかる設定)、その間に地球の科学力も変わるでしょっていう問題が発生したりします。
ちなみに私ですが、絶対この宇宙には他の文明や生き物がいると思ってます。宇宙人は絶対います。宇宙は想像できないくらい広いですからね。もう広いなんてもんじゃない。超広い。
でもその異なる文明同士が出会うことは現実的じゃないと思ってます。超広いですからね。地球レベルの科学力じゃ星間移動なんて到底無理です。仮に今回の小説に登場するような光速の10分の1の速度が出せる宇宙船を開発できる超科学力の進んだ異星人であっても、やっぱり光年単位の移動には数百年かかるわけです。あと何より、宇宙の138億年という超長い歴史の中で、地球に文明が芽生え宇宙に出ようなんてレベルに達したのはこの数百年の話です。文明の発生する時期が少しズレただけですれ違えないですよね。
登場人物の名前が覚えられない
そんな感じで、これ以上ないくらい面白いのですが、一点読んでいて辛かったのが登場人物の名前です。
葉文潔
汪淼
読めます?
それぞれ、葉文潔=イエ・ウェンジエ、汪淼=ワンミャオと読むのですが、その他の登場人物の名前も馴染みのない漢字や読み方で、全く覚えられません。逆になまじ読める漢字が入っていることでさらに混乱したりもします。それを知ってか、初登場時や久しぶりの登場時にはルビを振り、さらに「登場人物表」なる一枚の冊子まで付属します。でもいっそ全部ルビ付きか、カタカナ表記にしてほしかったと思うのは私だけじゃないでしょう(笑)
三体は三部作
まぁでもそんな名前のことなど、この面白さの中では本当に些細なことです。何度も言う通り、読み始めれば止まりません。
で、この「三体」ですが三部作なんです。本国ではとっくに完結済ですが、日本では二部が2020年6月に刊行され、三部は2021年に刊行予定らしいです。
当然、読み終わった次の瞬間、本屋に走り、二部である「三体Ⅱ 黒暗森林」を購入しました。上下巻にわたる圧倒的ボリュームです。このまま一部の記憶が鮮やかなうちに読もうと思います。楽しみです。