iPadでJ.M.WESTONのローファーを描いたが、母と妻から信じてもらえない話

[記事公開日]2021/02/15[最終更新日]2021/02/16

iPadで描いたJ.M.WESTONのローファーのイラスト画像

越石です。

そういうわけで、iPadとApple Pencilを購入してからというもの、寝る間も惜しんでイラストばっかり描いています。

で、禰豆子、オールデンのローファー、エドワードグリーンのドーバーと描いてきて、JMウエストンのローファーを描いたので、ここぞとばかり母親や妻に自慢するも、二人揃って

母から実際に届いたLINEのスクショ

「コンピュータが描くんやろ…面白いか」

と。

いやいや、俺が普通に手を動かして描いてるし!

まぁ、確かに紙に描くのと違って、レイヤー機能とかあって色塗りも便利だし、線画の修正も楽なんだけど・・・

でも俺が描いてるんです!!!

というわけで、実際にどんな流れで描いているのか、簡単に紹介して「コンピュータが描いてる疑惑」を晴らそうと思います。

 

イラストを描く環境

まずイラストを描く環境は以下の通りです。

    • ・タブレット:iPad(第7世代)
    • ・ペン:アップルペンシル(第1世代)
    • ・使用アプリ:プロクリエイト

アップルペンシルとiPadの最強コンビ

タブレットはひと世代前である第7世代のiPadで、スタイラスペンはアップルペンシルを使用しています。このアップルペンシルとiPadの組み合わせが優れもので、筆圧での濃淡、ペンを傾けたときのペン先の変化など、本当に紙に描いているような感覚が得られます。他のペンタブとかあまり使ったことないんですが、ペンタブのように画面が別のやつってすごく苦手でした。やっぱりペンの先から普通に線が出るのがいいですよね。

反応速度の早いプロクリエイト

使用しているアプリはプロクリエイトという有料(1,220円)のものです。無料のアイビスペイントというアプリも試しに使ったところ非常に使い勝手がよかったのですが、このプロクリエイトはiPadに最適化されており、アイビスに比べペンの動きや線の描写に遅延がなく、本当に違和感なく描けます。ただ、プロクリエイトのわかりにくいUIだけは残念です。

 

1.鉛筆ブラシで【下書き】

さて、環境が整ったらまずは何より下書きです。紙に描くのもタブレットに描くのも変わりません。やっぱり最初は下書きなんです。

iPadにプロクリエイトの鉛筆ブラシで下書きした画像

こちらが鉛筆ブラシを使用して描いた下書きです。正確には自分用にカスタマイズした鉛筆風製図ペンを紹介して描いてます。鉛筆ブラシの線が”かすれないバージョン”です。

トレース無し

実はレイヤー機能を利用すれば、下に写真を薄く表示させて、上からなぞるなんていうトレースも簡単に出来るのですが、あえてトレースはしていません。トレースが良い悪いではなく、ただの拘りです。(必要に応じて今後はトレースも使う場面もあると思います。)

ですので、今回はモチーフとなる写真をiPhoneで表示したり、別レイヤーで左上に表示して、見ながら描いています。

この工程はデッサン力だけが必要で、紙に描くのとあまり変わらないと思われます。

 

2.【線画】製図ペンでペン入れ作業

次にラフな線が引いてある下書きの上にレイヤーを重ねて、綺麗な線を引く「ペン入れ作業」をします。清書みたいなもんです。場合によってはこの工程無しで、下書きの上から色をつけていくこともあるかもしれません。

iPadにプロクリエイトの製図ペンブラシでペン入れした画像

こちらが先程の下書きの上から製図ペンでペン入れした「線画」になります。ここでは紙とは違い、アプリならでは機能を使ったりします。

レイヤー機能により下書きと別の紙に描く

一つ目がレイヤー機能を使うことにより、下書きと、線画の紙(レイヤー)を別々に保持することができます。本物の紙の場合、消しゴムで消える鉛筆で下書きをし、上から消しゴムで消えないペンでなぞって、後から下書きを消すなんてことが一般的ですが、こういったレイヤー機能を使えば、下書きの上からなぞって、線画が描けたら、下書きのレイヤーを非表示にすればいいだけです。便利っす。

手ぶれ補正&オートシェイプ機能

そして2つ目が、手ぶれ補正機能とプロクリエイトのQuickShapeというオートシェイプ機能を活用しています。

手ぶれ補正機能はその名の通り、線の揺れを設定数値の値に応じて補正してくれます。あまり強くかけると線が変わるのと、反応速度が落ちるので、私の場合は1%〜5%程度とおまじない程度にかけています。

で、QuickShapeですが、これは引いた線を綺麗な丸にしてくれたり、正方形にしてくれたり、直線にしてくれたりと、言わばめっちゃすごい定規って感じです。ベジェ曲線のように自由に線が描けるわけではありませんが、使い所によってはめっちゃ便利です。
※個人的にベジェ曲線は使いこなせません。

これがちょっと母と妻が言う「コンピュータが描いてる」に近いと言えば近いのですが、あくまで便利な定規ですし、そもそも「下書きありき」なんでまぁ違うかなと自分に言い聞かせます。

そしてこの工程が1番難しいと個人的には思っています。この線画こそ、描き慣れている人とそうでない人との差が明確に出るような気がします。いくら手ぶれ補正しても、ツールを使っても思った通りの綺麗な線って描くのが難しいんですよね・・・私の線画もダメダメです。こなれ感がないです。上手い人は線の揺れや途切れ具合も含めて違和感のない綺麗な線を描きますよね。練習ですかね。

3.【ベタ塗り】で全体の色塗り

次に色塗りですが、まずは全体の基本となる色をベタ塗りしていきます。

iPadにプロクリエイトでベタ塗りした画像

こちらがベタ塗りした画像です。靴なんでアッパーのバーガンディ色と、シューツリーの薄いベージュのような色の2色だけベタ塗りしました。

こちらも紙に絵の具で塗るのとは違い、線画の線に沿って、自動ではみ出さずに塗ることができます。昔からPhotoshopなんかにあるバケツツールのようなものですね。ムラなく塗れるという点では、コンピュータのおかげかもしれません。やばいやっぱりコンピュータが描いてる。

4.円ブラシで【影をつける】

陰影をつけた画像

次に先程ベタ塗りした基本色に対し、濃い目の色で影をつけていきます。

さらに陰影をつけた画像

何度も筆を重ねることで色が濃くなったり、筆圧次第でグラデーションをつけることもできるブラシを使っています。当たり前ですけど、どこにどれくらいグラデーションをつけるのか?そもそも影はどこについているのか?などしっかりモチーフを観察して理解し、それを実現する筆遣いが重要だったりします。

5.【ハイライト】を入れる

次に明るい色でハイライトを入れます。光が当たって明るくなっている部分などに、白や明るい色で描いていきます。

ハイライトを入れた画像

広い面などムラが出ないようにグラデーションをかけたりする必要があるので、難しい工程でもあるのですが、この作業で一気にメリハリが出るので1番楽しい工程だったりします。生まれ変わったらハイライト職人になりたいくらいです。

このベタ塗りから陰影、ハイライトまで全て別のレイヤーで作業できるので、塗り直しや、やり直しが非常に簡単です。何度でも納得するまでトライできます。これも紙とは違うところです。

6.細かい描き込みをして【完成】

最後にシューツリーに木目を描き込むことで木の質感を表現したり、革靴なんで縫い目の糸を描き込んだりして、精度を上げていきます。

iPadで描いたJ.M.WESTONのローファーのイラスト画像

ローファーのような甲部分がU字に縫製されているモカシンシューズ場合、U字部分のモカ縫いの表現がちょっと面倒且つキモだったりします。モカ縫いには色々な縫い方があるので、いくらイラストといえど、あまりにも手を抜きすぎると靴マニアのツッコミを受ける可能性があります。私の場合、けっこう手を抜いているのでツッコミ待ちです。

全工程メイキング動画

アプリの機能で実際に筆を動かしている工程がタイムプラスで録画されているので、興味のある方は見てみてください。普通に描いては消して、描いては消してを繰り返している事がわかると思います。

まとめ

そんなわけで、アプリを使用して私がどうやってイラストを描いているかの紹介でした。

さて、ここまで偉そうにイラスト作成について解説してきたわけですが、何を隠そう「アプリを使ってイラストを描くのは初心者」です。

ただただ、母と妻に言いたかったんです。

ちゃんと描いてるんやで!!!

アプリが描いてるんと違うんやで!!!

ということを。

まぁ2人がこのブログ読むかわかんないですけどね。
※ちなみに父親と息子は絶賛してくれました。

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